改修工事レポート(6)「舞台吊物機構」
舞台吊物機構
10月に入り、徐々に秋らしい日が増えてきました。
ホール棟の工事はスタートから4ヶ月が経過し、そろそろ折り返しを迎えようとしています。
進み具合は良好で、前回お伝えした中間検査も滞りなく終えることができました。
今月は引き続き、舞台装置や電気設備関係の検査を実施しています。
「アンカー」の設置
9月までにエントランスと多目的ホールでは、補強ワイヤーの取り付けと金具類の設置がひと段落。
鉄骨の補修や「アンカー」を設置する工程へと進みます。
「アンカー」とは英語で書くと「anchor」、すなわち船の“いかり”のように、
対象を固定したりつなぎとめたりするためのネジの一種です。
コンクリートに打ち込む際には、鉄筋や線が走っていないかの調査、またしっかりと固定できているかのテストが必須であり、とても重要な作業といえます。
舞台吊物機構
一方ホワイエでは、10月中旬に新しい天井が到着。
今後さらに多目的ホール・小ホール照明用の調光装置も搬入し、共に今月末から取り付け開始予定です。
そんな中、今回はひと足先に一部到着した、舞台の吊物機構のご紹介をしたいと思います。
吊物機構とは、バトンと呼ばれる金属のパイプに、舞台上部から幕やセット、照明器具などを吊り下げ昇降させる装置のこと。
華やかなステージを彩る演出には欠かせない、陰の立役者です。
【写真1:吊物機構】
この機構の操作、昔はバトンに吊るしたものと同じだけの重りを提げてバランスをとりながら手や機械で上げ下げする方法が主流でした。
しかし操作には細心の注意をはらわなければならず、また単純に倍の荷重がかかり地震の際に大変危険であるため、
徐々に重りいらずの電動巻取り式に移り変わっていきました。
当館では約20年前の開館当初からこの電動巻取り式の吊物機構を導入していましたが、当時としてはかなり先進的な試みだったんです。
このたび導入する機構はさらに進化し、インバータ制御機能付き。
今までとの最大の違いは、バトンの昇降速度が変えられる点です。
舞台演出の幅が広がり、興行性の高いニーズにも応えられるようになります。
さらに、サスライトやボーダーライトの位置を記憶し自動で元の高さに戻せる機能が付いたり、
重さを電気信号に変換するセンサーによってバトンに吊り下げた物の重さが数字で分かるようにもなります。
ちなみにこの機構、実は5年ほど前から導入に向けて動き出していました。
ついに念願かなっての導入に、舞台担当スタッフもワクワクしています。
【写真2】
こちらの写真は舞台の天井裏、いわゆる「スノコ」。
照明などが吊り下がった様子がぶどうの木に似ていることから、「ぶどう棚」とも呼ばれます。
新しい吊物機構は今後6回に分けて到着し、最終的に約50台がここへ立ち並ぶことになります。
据え付けが終わった暁には、また全体の様子をお届けしたいと思います。
今回のレポートは以上です。次回もお楽しみに!
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